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16年ぶり…

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前夜寝るのがとても遅くなったのに、
早朝に目覚めて頭もやけにすっきり、もう眠れそうもない。
そんな日は起き出して、静かな空気の中でパン焼きを始める。

最近パン焼きを始めた。正確には再開。
ネコと暮らし始めてからは完全に途絶えてしまったので、もう16年以上…
本当に久しぶり。

16年前…その頃は週に2,3回は焼いていたかな。同じパンを繰り返し繰り返し・・
もう当たり前の感覚になっていて、パン好きな人が遊びにくると
「食べる?」と言って、それから捏ね始めたこともあった。

ほんとうに手が離せないのは、最初の10分ほどだから。
捏ねた後は、パン生地が自分で発酵してくれるのを待てばいいし、
発酵後はちょこっと作業して生地を休め、成形して再び発酵してもらう。
で、その後オーブンに入れてオーブンが焼いてくれるのを待つ。
その時々にパンの状態をチェックしながら…

書けばこんなものだけど、久々に始めるにはさすがに
「よし!やるぞ、さぁやるぞー」と気持ちの助走が必要だった。
さすがに16年は長い。

今回も3日に一回くらいは焼いているかな。すると徐々に徐々に思い出してくる。
捏ねているパン生地の弾力、キメの細かさ、水分、温度、丸める時の要領・・
そういう手に感じるいろんな感覚。
そうそう、そうだった、これこれ、あぁこんな感じだったなぁ…

体感が戻ってくるあの感覚って、
頭の中の記憶を思い出すというのとはちょっと違ってる。
それはなんだか不思議で、そして、じわーっと湧いてくるような嬉しい感覚かも。

ピアノを弾くのも歌うのも、やりようによっては
若い頃の感覚って返ってくるのだろうか…
もちろん新しい領域に入るっていうのもあるけれど、良い感覚は思い出したい。

今回のパン焼きはベーグルから始め、7,8回繰り返して
他のが食べたくなって、今回は丸パン。

いい焼き色がついた。
手で割くと皮はパリリッと、中はふわもちっ…と。初回にしてはいい感じかな。

「パンは生きもの」というけれど、
温度、湿度、発酵時間、焼き具合、ちょっとした環境で出来上がりが違う。
私ごときがシンプルな材料で繰り返しても、その度に違う。
好きな感じに辿り着けた!と思っても、次に焼くと微妙に違って
あ〜〜この間の感じがいいのに、、なんて思う。

だから、パン職人さんがあれだけ熱くなるのは理解できる気がする。
「いつまでも辿り着けない。たぶん一生…」と言うけれど
そういう意味で音楽ともよく似てるかな…って。
いや、何でも同じか・・。生きること自体も。

すべてはまだまだ繰り返しながら改良していく。
by hitomi_tk | 2012-06-30 21:58 | 食べること | Comments(0)

静かな日常と音楽と…


by jin